Flaskepost fra P (2016) ハンス・ペテル・モランド
特捜部Qシリーズ第三弾
ユッシ・エーズラ・オールスン原作、特捜部Qシリーズの三作目。
今回、監督が交代した模様で、前二作とは微妙に雰囲気が変わったかも。
まぁ、どっちがどう、って比べることに興味はないけど・・・、つーかシリーズ全部好きなのはまぎれもないけど、少なくとも今回は美形キャスト率があがっていたので、眼福アンド似顔絵描きが楽しかったことを、記しておきます!
もちろん、そんな美形たちの中にあっても、ひときわ眉間のタテジワとむさくるしさを、惜しみなく放つカールとアサドのおっさんペアが、いちばん可愛いのは言うまでもありません。
しかし、ただひとつ詰め寄りたいのは、
前回特捜部入りした猫はどうなった?猫は!
・・・というところですよね。正直、めっちゃ気になります。
■続き
あらすじ
▼前回の事件
前回の事件による衝撃で、ガッツリ魂が抜けてしまったカール。
あえてタオルに例えるなら、まるで洗濯のしすぎで激しく痛み、ゴワゴワのカチカチのまま石化したやつ。
短く言うならタオルの化石。
だがしかし、そんなタワシみたいなタオル(カールだってば!)にふんわり魔法をかけて生き返らせた、とっておきの柔軟仕上げ剤・・・、いやさ、古いボトルメッセージ。
7年前、殺人犯に監禁されていた子供が助けを求めてボトルに込めたメッセージが、まさに今!起こっている誘拐事件とつながって、おそろしい殺人者の闇と、カール、アサドらの宗教観があらわになっていくのです。
というわけで、今回もやぱし、「犯人は誰か?」という話ではなく、犯人はどう病んで、なぜそれをするに至ったのか、というのが焦点の模様です。
相変わらずあらすじ説明に進歩がなくて申し訳・・・ズズズ。(涙と鼻水)
感想
もともとシリアスさに胸をかきむしる系のシリーズだったんだけど、今作は最高傑作と謳われるだけあって、ことのほかずっしりきたきた、という印象です。
カールとアサドの掛け合いも、クスっとできる成分が少なめになってて、特捜部Q内の人間関係の描写が、とうとう佳境に入っちゃったかな、とか思う。
ホラ、テレビシリーズなんかの続き物によくあるじゃん。
まだわかりあえなくて睨み合ってるぐらいの時は、愉快な掛け合いやってんのに、回を重ね佳境に入るにつれ、人物描写という穴を深く深く掘りすぎて、どんどん笑えなくなっていくやつ!
でも、特捜部Qは扱う事件そのものが暗いので、せめて部署内にもっと光を!!!あるいは笑いを!!だめならせめて温泉を!!
・・・・って思いませんか?思いますよね?
ぶっちゃけ、アタイとしましては、カールとアサドとローセがコーヒーなんか飲みながら、飼い猫が増えまくるだけの映画でもイイんですけど!!
ダメですかね・・・。
大道具フンパツして、キャットタワーも配置するけど・・・やっぱダメ?
ローセ用に対戦相手もつけるけど・・・・ほんとにダメ?
だってさ~~、ただでさえ毎回体を張ってるカールが、今回もバコーンと畑に転がされたり、水浸しになったりと、案の定なドエリャー目に遭いまくるのが、さすがに不憫でなりませぬのよ。
挙句、自分が殺されたほうがはるかにマシ!!って状態に至りますと、いくらなんでも「もうやめてあげてええええ!!」ってなりますよね、なりました。
今作以降の展開によって、さらにカールに空く穴が広がる可能性まで考えますと、もしもアタイが責任者ならいまのうち、特捜部にキャットブースと医療班作るし、外科医と精神科医と、美人ナースを配属しておきたいです。
え?アタイ脱線しました?えと、映画の感想でしたっけ?
うーん、か、感想に戻りますと、自分の宗教観まで問われたような、いたたまれなさがつらいです。
かろうじてあらすじに書いたように、7年前のボトルメッセージが7年後の誘拐事件を解く手がかりになるんですけど、そのいきさつがめっちゃドラマで、無宗教のアタイですら、「おぉ神よ!」って言っちゃうやつです。
子供たちはきっと、犯人のキモさに、うすうす気がついてたりしたのだろうに、「父母が信頼している人だから」あるいは、「神に仕える人だから」という思い込みによる油断から、行動を誤ったのだと思います。
そして、そうした出来事を親の信仰が誘引したのだとすれば、父母の無念はいかほどか。
だからこそイリーアスの行動に、胸を強打されました。
アタイも親の一人として、自分の思想ひとつで子供の運命を左右する可能性を考えますと、胸が張り裂けんばかりです。
でも、困ったことに、この映画はやぱし美しいのです。
犯人の最後のシーンが、まるで洗礼の儀式のようで、そしてカール自身も子供を救ったことで救われていて、アタイの心にまでなんともいえない余韻をもたらしてくれました。
ミーハー萌えポインツ
今回の発掘キャストは、なんつってもポール・スヴェーレ・ハーゲンとヤーコブ・オフテブロでございますです!!
あと子供が天使すぎる。デンマークどんだけ天使天国!
犯人の子供時代の美少年っぷりまでハンパないし、イラストには手しか描かなかったんだけど、誘拐された女の子がマジ美少女でございます。
あと、個人的には、熊カテゴリながらイリーアスに激萌えしました。
映画をごらんになった方には、共感してもらえるかもしれない!
「特捜部Q-Pからのメッセージ」データ
Flaskepost fra P(2016)
デンマーク・ドイツ・スウェーデン・ノルウェー
原作
最近のアタイは、原作を読まずに映画だけ見て満足する技を習得し(集中力の低下とも言う)、おおいにエネルギー削減、オツムのエコ仕様として技を活用しておったのですが、このお話は、やっぱ、原作の魅力に触れることで、病みつき度が増すようです・・・。
余談だけど、前回この現象にやられたのは「魍魎の匣」だったので、あの分厚さの凶悪感に比べたら、特捜部Qシリーズははるかに良心的でございましょう。
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監督
ハンス・ペテル・モランド
キャスト
ニコライ・リー・カース(カール・マーク)
ファレス・ファレス(アサド)
ポール・スベーレ・ハーゲン
ヨハン・ルイズ・シュミット
ヤーコブ・オフテブロ
ソーレン・ピルマーク