Fasandaeberne/ミケル・ノガール
特捜部Qシリーズ2作め
前回の事件の解決により、特捜部Qは、解決済み事件の書類整理という名目の島流し部署から、未解決事件花形捜査班にレベルアップし、しかも秘書と猫まで加わりました!
猫の名前はキャット。訳すれば猫!ミケとかタマですらない!!
うむ、カールらしいです。
たぶん、カールはセンスが良くも悪くもなく、ぶっちゃけ「センスが存在しない」んじゃないかな。や~ね~、んもー可愛いよっっカール!
▼前回の事件
ちなみに、ちょっと出世したからといって、相変わらずナンパに成功しないわ、義理の息子との約束を忘れて関係改善の機会を逃すわ、と、カールの行動パターンは何一つ変わっていないので、前作から、まったく時差を感じません。
ただ、目の前のコーヒーが、ローセ(秘書)の入れたものだと確認してから飲む、という描写があって、ソコは気にとめるべきポインツですよね。
確か前回、アサドのコーヒーを認めたんじゃなかったんかぃ!
■続き
あらすじ
今回の特捜部Qは、20年前、お金持ちのボンボン御用達全寮制高校が舞台となった、双子殺し事件の真相に迫ります。
殺された双子の父親であるもと刑事は、20年にわたり独自に捜査を続けていたんですけど、ある日、カールに捜査を託して自殺します。
ぶっちゃけ、一見推理物?となりそうな幕開けなんですが、これはね~・・・、犯人探しのお話ではなかったです。
真犯人が、どういう人物であるのか、双子は何のためにむごい死に方をしなければならなかったのか、そして特捜部Qが、犯人をどうやって追い詰めていくのか、カールやアサドを応援しつつ、手の汗をシットリ握りつつ、成り行きを見届けるお話なのでございます。
ちなみに、「キジ殺し」とは、特権階級による娯楽としての狩猟を意味している模様。
感想
いやぁ~~、暴力描写の凄まじさが、なんとも胸糞でございました・・・。
アタイ的には、時計仕掛けのオレンジよりも、ファニーゲームよりも、こっちのほうがイヤだったかも・・・。
なんせ単純に、ディトリウとウルレクがイヤすぎます。
狡猾で残虐で腐っているのに、富豪という出自の威によって守られ、さらに成功者として社会の高みから下界を見下しているような、現実にいそうな人物像なんだもん。
キミーはキミーで、同じ穴の狢かと思えば、逆に人間らしさの塊すぎて、救いがない性格だったかも・・・。
っつーか、制御のきかない激しい感情に翻弄される、キャラクターの強烈さ。
暴力性、残虐性、執着などがグツグツと煮えたぎった鍋の中に、ぐんにゃり変形した愛や、カビた良心のかけらみたいなスパイスと、ピュアな謎物体が入っていて、とりまく事情が動くたび、複雑な揺れ方をするんです。
さしあたって、存在が凶器めいていて、すれ違うだけで出血しそう。
・・・と言ってから書くのもナンなんですが、個人的に、ちょっと残念だったのは、登場人物にいまいち萌えなかったことでしょうか。
ぶっちゃけ、キミー、ディリトゥ、ウルレクの、20年前と20年後の姿がしっくり一致してないんじゃありませんこと?
もっと言えば、全編通じて華が欠乏気味というか。
だってアタイはミーハーですよ、「華」が欠乏したら貧血起きるの!
人物の華が少ないなら少ないで、やっぱ、せっかく富豪モノなんだから、せめて城に住まわせるとかさ~、庭に滑走路あるとかさ~、もうひとつ金にモノ言わせたインパクト欲しかったよね。
なんならウルリクにKTZの衣装を着せるとかでもよかったのに・・・。
「特捜部Qキジ殺し」データ
- Fasandaeberne 2014年
- デンマーク・ドイツ・スウェーデン
監督
- ミケル・ノガール
キャスト
- ニコライ・リー・コス(カール・マーク)
- ファレス・ファレス(アサド)
- ピルウ・アスベック(ディトリウ・プラム)
- デビッド・デンシック(ウルレク・デュブレ)
- ダニカ・クルチッチ(キアステン)
- サラ=ソフィー・ボウスニーナ(学生時代のキミー)
- ヨハン・ルイズ・シュミット(ローセ)
- マルコ・リソー(学生時代のディトリウ)
- ベアテ・ビレ(テルマ・プラム)
- ピーター・クリストファーセン(オールベク)
- ソーレン・ピルマーク(マークス・ヤコブソン)
- ミハエル・ブロストラップ(バク)