THE GREEN BUTCHERS/DE GRONNE SLAGTERE
ちょっとデッサン狂ってますね。すまんすまん。
あらすじ
ざっくり言うと、肉屋で働く、肉さばき担当ビャン(ニコライ・リー・コス)とお料理担当スヴェン(マッツ・ミケルセン)の、独立細腕繁盛記。
店主のホルガーのもとから独立して、自分たちの店を持ったコミュ障二人が、山を越え谷を越えトラウマを克服し、いろいろ乗り越えてハッピーになるという感動ほっこりファンタジーなのです。
ただ、たまたま冷凍庫で凍死した電気屋さんの足を、スヴェンがついマリネにしてしまい、しかもマリネが大ヒットしたりするもんだから、「これを大衆が求めているのか!」と開眼し、結局店の周囲で、行方不明者が増えることになったりはします・・・。
ちなみに、電気屋さんの死体処理が一件落着して、ほっとしたビャンが冷凍庫の扉を開けると、牛やブタのはざまに、見覚えのある不動産屋さんの死体が、新たにぶら下がっていたりするんですけど、スヴェン曰く、「ゆうべ外に出たら、たまたまあの男が転がっていたんだ!だから冷蔵庫に入れたんだ!」ということなので、な~んだそっか~~~、ってなります。いやなりません、なりません。
■続き
感想
とにかく、ピックアップしはじめたらキリがないほど、ツッコミ倒せるお話ですよね。
誰にも愛されなかったスヴェンが、「おいしいマリネで、お客さんに喜んでもらえるのが嬉しいから」モト妻すら冷凍庫送りにする、ねじれた展開がたまりません。
つまり、人肉マリネは、スヴェンが自己肯定するための手段でしかないので、「殺人だ!!」とか、「カニバリズムだ!!」と大騒ぎするようなお話ではございません。
まぁ、新婚旅行中に飛行機事故にあって、妻を食べて生き延びた司祭(え?)が、「グレイジー(妻)の味がする。」みたいなことを言って、スヴェンをピ~~ンチに追い込んだりはするんですけどそこはそれ。
大筋は、生き辛い者たちが、すったもんだの結果、妙に救済されていく・・・というものなので、細かいシチュエーションのおかしさにヤジを飛ばして楽しみつつ、ラストでじーんとするハメになるんです。
ただひとつ、ビャンがマリネの味見をするシーンだけは、アタイにとって、身の毛もよだつホラーでした。
商売ものの調味料に、ゆ、ゆ、指なんかつっこんでナメるんじゃねぇ!!!
くれぐれも、味見は、スプーンでお願いします・・・・。
マッツ・ミケルセン可愛い!!
それにしても、すっかり、人肉お料理ものが定着したマッツですけど、ハンニバルが涼しい顔をしてスマートに料理をするのに比べて、スヴェンは玉のような汗をかきながらお料理をする暑苦しい男、ってところが対照的です。
とにかく、自前の前髪を剃り落としてまで、汗っかきで嫌われ者の、ちっちゃい男役に挑んだ、「デンマークの至宝」の大物ぶりに、まずひれ伏します。
たぶん、マユゲも半分ぐらい剃ってるよね?
けど、前髪やマユゲが別になくとも、生まれつきの麗しさがぜんぜん隠しきれてないマッツに、アタイはひたすらほほえましさを感じます。
あと、エアボーリングのシーンなんか、可愛すぎて萌え死にます。
ビャンの弟アイギル
もともと脳障害持ちで、さらに事故で脳死と診断され植物人間と化していた、ビャンの双子の弟アイギル。なんと、生命維持装置を外したとたん、ムックリとよみがえる!
そういういわくつきなので、言動が特殊なんだけど、ニコライ・リー・コスが二役で、すごい演技力を見せてくれます。
超絶動物好きなのに、お兄ちゃんに許しを請うため、でかいニワトリを殺して持って行くシーンは、困ったことに、泣けます。
とにかく、マッツ・ミケルセンファン以外にもオススメできる、良い映画です。
ただ、マリネになった人々のことを考えると、おススメしてはアカン映画かもしれません。
「フレッシュ・デリ」データ
THE GREEN BUTCHERS/DE GRONNE SLAGTERE
2003 / デンマーク
監督
- アナス・トーマス・イェンセン
キャスト
- ニコライ・リー・コス
- マッツ・ミケルセン
- ボディル・ヨルゲンセン
- リーネ・クルーセ
- オーレ・テストラップ