Savage Grace / トム・ケイリン
1972年11月17日、ある殺人が起こった
※いつものことですが、ネタバレへの配慮はございませぬ・・・すまんすまん。
殺されたのは、バーバラ・ベークランド。殺人者は、ほかならぬバーバラの最愛の息子、アントニー。
彼女はなぜ息子に殺されてしまったのか。
冒頭のナレーションで、「愛ゆえに」とアントニーが語るので、もしかしたら、母が、わが子に、自分を殺すよう仕向けたのかもしれない。
うううう~~む!
ともかく、隅から隅までずずずいっと痛々しい話でつらかった。
実話ベースということだから、よけいやりきれなさが増してるのかなぁ。
救いがなさすぎて、いまだに「うおおお!」ってなってます。
■続き
あらすじ
話は、アントニーが生まれたころにさかのぼります。
貧しい暮らしから這い上がるため、美しさを武器に上流階級に嫁いだバーバラは、野心家で、上流の暮らしを不動のものにしようと必死でした。
華やかで魅力的な女性なので、社交性を駆使しておつきあいを頑張るんだけど、時々、下品な言葉が口をついて出たり、教養のなさがポロっと出るので、恥をかいたりするのです。
夫は、そんなバーバラのフォローをするどころか、皮肉で冷たい目を向けるだけ。
バーバラも心の中では、まわりや夫から、見下されて孤立している、と感じているから、感情を持て余してキレたり、ブチキレたり、ブチブチ切れたりするんです。
アントニーはそんな夫婦仲のとばっちりを受けて、少年のころから、豪邸に一人取り残されたりします。
ある日、いろいろあった夫婦が朝帰りをすると、ベッドに見知らぬ少年がいたりして、アントニーはゲイ?ってことが発覚。
まぁ、ゲイとかバイってこと自体が問題じゃなくて、誰とでも寝ちゃうことが闇なんだろう。
ぶっちゃけ、この家族み~んな心を病んでインモラル。
パパは息子の彼女をいともあっさり横取りするし、彼女もちゃっかりしてるし、ママはしまいには息子とモゴモゴ。
そして息子がママを刺します。
感想
なんつーかなぁ、育った環境があまりにも違いすぎる夫婦が、心を通わせることに失敗すると、とてつもなく悲劇だなあと思う。
たぶん、ブルックス(パパ)も、バーバラは金目当て、と思っていて、お互いの愛を確信していないから、最終的にバーバラの夫であること、息子の父であることさえも、放棄してしまったのかなぁ。
ただ、バーバラにはバーバラなりの愛とプライドがあって、でもねじれにねじれた感情は、望みの着地ができなくて、どんどんテンパっていくのよねぇ。
大体、物語の最初ぐらいは、幸せな家族の肖像を見せてくれるのかと思いきや、もうしょっぱなから、「この家族は壊れるしかない!」ってわかるんですよね。
バーバラの一生懸命さは、痛々しすぎて見ていられないし、ブルックスは明らかに妻を見下していて、皮肉やあてつけの応酬ばかり。
まぁ、もし、登場人物のうち、一人だけグーで殴るとしたら、アタイ的には断然ブルックス(パパ)なのである!
だって、バーバラを傷だらけにしてるのは、ブルックスよね?
バーバラは傷つくたび、誰かとのセックスによって、自分の立場や女としての自尊心を守ろうとするんだけど、その描かれ方が、とても哀れで悲しくて痛ましい。
そして、そういう女を母として愛し、また束縛されるアントニーは、自覚のないまま、誰よりも傷ついて、壊れていったんだと感じます。
つーかさ!!
この映画、まずバーバラという女性に対して、めっちゃ生理的な嫌悪感を抱いてしまうとこから始まるの。
アタイ、ジュリアン・ムーアの歯並びまでもが、おそろしくて、「もうやめて~歯をむき出して笑わないで~~!」って悶絶したもん。
つーことは、逆に、上手いなあ、すごいなぁ、ジュリアン・ムーア。ってことなんですよね。
あと、エディ・レッドメインが本当に本当に美しくてすばらしかった。
すきとおっててナイーブで、まるで妖精みたいだった。
ブランカ役の、エレナ・アナヤも可愛かったなあ~~。
体型がちとゆるんでるのがまた良くて、この映画中、唯一普通に色っぽかったと思います。
うむ、妙に、中途半端な感想になってしまいました。
ともかく、今回は感想というより、ついいろいろラクガキしたので貼っとくね、みたいな感じです。
なんせ美形揃いだったからなぁ~!
美しすぎる母 データ
- Savage Grace (2007年/スペイン、フランス、アメリカ)
監督
- トム・ケイリン
出演
- ジュリアン・ムーア (バーバラ・ベークランド)
- スティーヴン・ディレイン (ブルックス・ベークランド)
- エディ・レッドメイン (アントニー・ベークランド)
- エレナ・アナヤ (ブランカ)
- ウナクス・ウガルデ (ブラック・ジェイク)
- ベレン・ルエダ (ピラール・デュラン)
- ヒュー・ダンシー (サム・グリーン)