Parfum(2018)
全6話。ネトフリで配信されているテレビドラマです。
見た動機はもちろん、アタイのアウグスト・ディールが出てるのと、「パフュームある人殺しの物語」の現代版、みたいな紹介文に動かされたことに尽きます。
だからこそ、最初は険しい顔で「んんんん~~っ?話が違うやないか!」ってなるのですが、ナニゲにだんだん眉間のシワがジワジワ~~~~っと温まってきたようなこないようなモノがありました。(どっちや!)
まぁたぶん客観的にはそんなに面白くないし、いわゆる評論する人のジャッジには耐えないだろうし、ユーモアは赤飯におけるゴマシオぐらいしかないし、と、一般的なウェルカム要素が見当たりませんので、特に布教はいたしません。
ただ、私的には見たことに一片の悔いなし!ありがとうねネトフリ!とそっと両手を合わせて拝んでいます。
そもそも、以前の苦労を思えば、ドイツのテレビドラマをいまこうやってポチっと見られることのありがたさに感動せずにはいられない。
1話 竜涎香
竜涎香、すなわちアンバーグリスですよね?
マッコウクジラの結石で、希少価値という事情もあるのだろうが、最高峰のアニマルノートとして名高いものです。
アニマルノートってアタイはちょっと苦手なんだけど、香りの奥行きや香りの持続に欠かせないのはまぁわかる。
ひとたび動物の分泌物がくっつきますと、ゴシゴシ洗ってもおいそれと落ちないですからな・・・。
つーか純度100%のカタマリを直接嗅いだことがあるわけじゃないけど、由来を考えりゃさぞかし臭いやつだろうなぁ~~~と思います。
最初に、この匂い使える!!って思ったパフューマーは凄いですよな・・・。
んで、ドラマなんですが、特徴のある殺人事件が起きるんですよ。
被害者の体から、なんと体臭腺が切り取られているんです。
のみならず、便まで持ち去られておるのですよ。
そりゃ~もうどんなに察しが悪くても、「アニマルノート殺人事件だな!」ってことはわかりますよね。
でも、そのネタバレによって、アタイに芽生えた好奇心は一切落着しないんですよね。
それって好きな感じの導入部です。
2話 スカトール
スカトール、すなわち人糞臭だってんでございますよ。
その匂いには懐かしさを思い起こさせる効力があるのだそうな。
ウムぅ・・・まぁ確かに・・いやいや、香水に人糞臭??ってなるとちょっと頭を抱えますよね・・・。
一体、人糞臭を題名にしてどんな特濃展開に?とつい用心するんですが、そこは期待はずれというか、いや期待なんかしてないけど、予想をサクっと外してくれます。
あえて心の声を申しますと、「ヌルイな」ってことになります。
だがしかし、話は俄然面白くなっていきます。
事件の鍵になる被害者を含めた6人は、学生時代を共に寄宿舎で過ごした間柄でした。
その懐かしい面子がカタリーナの葬式により集合します。
同窓会めいたウフフなカンジはまったくなくて、こりゃ、過去にみんなの脛に深々とした傷があるよな、と一触即発的な気配を察知し、早速ウンザリいたします。
この2話以降、カタリーナの衝撃死というエサに食いついた視聴者が、各登場人物の痛みや罪がぐいぐいと掘り下がるのを見せつけられる、とても陰気な展開になります。
ただミーハー的には、 香水屋のモーリッツが老女の体臭を執拗に確かめてから、ビンゴな香水を差し出すのがとことんエロくて萌えました。
香りで人を動かすモーリッツ役のアウグスト・ディールには、心底ハァハァいたします。
あと、ミーハー萌えはともかくとして、ふつうにエロいシーンは盛りだくさんです。
3話 合成
4話 第3の物質
5話 ミドルノート
6話 心をとらえる香り
ミーハーめ、各話にわけるの、面倒になりやがったなとか思いましたか?
アタリですw
まぁそもそもあらすじを書きたいブログではございませんので・・・。
んと、このお話は、事件と平行して、捜査官ジモンの物語が進行し、ヒトクチに愛と言っても人それぞれの形があって、相手の愛が自分の思い通りの愛でなければそれどうなの、逆に悲劇の場合もあるよねって感じで終るんです。
ジモンは検事と不倫関係にあるんですが、大体、浮気をする時点でその男は妻にも愛人にも不誠実なんだから、万一略奪成功したって、所詮愛とか幸せとかいう言葉にはほど遠いじゃん、と客観的には思うんですが、悲しいかな、当事者には現実を脳内補正してしまう能力がございます。
ジモンはクソ検事に愛されたいんですよね。
そこで、検事がジモンに抱く欲望と執着を、愛に変えることを試みるんです。
グルヌイユがしたように、香水の力で。
やだもうろくなことになんなさそうで、見てられませんよね!!
あくまでも香りに翻弄されることを前提にしている話ゆえ、魅力ある人の香りをまとえば愛されて、死んだ息子の香りをまとえばその母を得られる、とか、安直さは目立つんですが、それぞれの人物像の悲しさは、胸に迫りくるものがあります。
個人的に、痛々しいのはやっぱりエレナとブッチェとジモンですけど、あと犬の哀れも見過ごせません。
いろんな形の虐待を、こんなにむごく悲しく描くなんて、と、ちょっとムっとするほどに。
そうそう、カウンセラー役の人どっかで見たと思ったら、グッドナイトマミーの人でした。
ずっとどんよりした話だけど、その点だけは思い出して超スッキリ!
とりあえずこれにて、スヤスヤ眠ることができそうです。
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「パルファム-香りに魅入られた悪魔-」DATA
- Parfum 2018年 ドイツ
キャスト
- フリーデリーケ・ベヒト(ジモン)捜査官。
- ユルゲン・マウラー(ケーラー)捜査主任。
- ヴォータン・ヴィルケ・メーリング(ヨアヒム・グリュンベルク)検事。ジモンの浮気相手。
- ケン・デュケン(ローマン・ゼリガー)カタリーナの死体の発見者。
- ナタリア・ベリツキ(エレナ・ゼリガー)ローマンの妻。
- トリスタン・ピュッター(トーマス・ブッチェ)ポン引き。
- クリスティアン・フリーデル(ダニエル・スルイター)歯無し。
- アウグスト・ディール(モーリッツ・デフリース)香水屋。
- スザンネ・ベスト(Lydia Suchanow)精神カウンセラー。
- (カタリーナ)最初の被害者。
- (フェリックス)カタリーナの子供。口がきけない。