Cracks / ジョーダン・スコット
女の子たちの寄宿学校もの!(ネタバレ多し)
おっと!邦題にだまされてはいけませぬ。
情事という言葉は、ちょっとニュアンスが違う気がして、個人的にそこ重要。
これ、ジョーダン・スコット長編初監督作という点もプレミアムな、みずみずしい一品だと思います。
ちなみに、リドリー・スコット監督がお父さんらしく、製作には故トニー・スコットさんの名前もあるので、舞台裏に想像を巡らせると、感慨みたいな気持ちがこみあげました。
舞台は離れ島の聖マチルダ学園。全寮制の学校です。
なんせ10代のはじけるような少女たちが、美しい女教師に率いられ、まぶしい日差しを浴びてきらめきながら、水辺で飛び込みしたり真夜中にナイトウェアを脱ぎ捨てて泳いだり、キャッキャウフフしたりしながらも、ときには闇に翻弄され、嫉妬や憎悪の芽が育ったりするのです!
時に痛々しいほどの、10代ならではのゆらぎの中でもがきながらも、少女たちはひと山ふた山と越えていき、やがて社会に向けて羽ばたいてゆくはずですよね。まぁ普通は。
ただ、大人になれなかった一人の闇に端を発し、悲しい事件が起こってしまう。
ということで!
描きたくなりますよね!ミーハーだもん、そりゃやっぱり!
■続き
あらすじ
ある日、マチルダ学園に、スペインからフィアマ(マリア・ヴァルヴェルデ)という転入生がやってきます。
裕福な家庭のお嬢様で、美しく知性もあり、体操をやっていた関係から、飛び込みのチームに入ることになります。
その飛び込みの美しさは、チームリーダーのダイ(ジュノー・テンプル)をはるかに凌ぐものでありながら、フィアマは「病弱」というハンデを抱えています。
なにかにつけて非凡ゆえ、フィアマはたちまち生徒の中で、嫉妬と羨望と憧れの対象になってしまいます。
・・・・フラグ!!
大体、女子校で目立ちすぎたら、それだけでもろくなことになりませぬもんな!
できればほっといて欲しいだろうに、そのうえ、「学生たち憧れの的の美人教師(エヴァ・グリーン)」に目をつけられ情を寄せられ、えこひいきされたからたまんない!
けれども、美人教師と関わるうち、聡明なフィアマはミスGの本当の姿を徐々に見透かしていくのです。
しかし、それゆえに詰むのです。
感想
だいたい、寄宿学校というところには、子供たちをやっかい払いする場所!みたいなイメージってありますよね。
傍から見ると美少女たちの花園であっても、当の花たちはホームシックにもだえながら、帰れないあきらめを淀ませつつ、嬌声をあげています・・・。
だから、マイペースをつらぬくフィアマが、協調性を要求するダイに向かって、「私は帰りたいだけ。」と言った時、「みんなそうよ!」とダイが返すのが重かった。
そこで、フィアマの表情がはっとして、ダイに歩み寄ろうとすることで、2人の距離が少し縮まったりします。
一方、世界を見ることにあこがれながらも、学校という閉鎖空間から離れられず、大人になる機会を失ってしまったミスGの悲しさのルーツも、そこにあるような感じです。卒業してそのまま教師、ということは、少なくとも親との距離は遠いまま・・・。
最終的に、フィアマの死の真相をもみ消す校長の姿勢が、少女たちの心の傷をほったらかす結果になってることを思うと、広い目で見れば、マチルダ学園にしか居場所がなかった、ミスGを蝕んだ真犯人って、校長先生ちゃうんかいっ!とか思う。
とまぁ、それはともかく、やっぱ寄宿舎モノですからして、少女たちのバリエーションも、見どころですよね!!
ポッチャリした子、メガネっ子、リーダーの腰巾着、いろんな個性が一同に集まって、同じ制服着てるのめーーーっちゃカワイイ!!
あと、やっぱりエヴァ・グリーン様がすばらしすぎる!!
ワイドパンツで校内を闊歩する姿は、かっこよくて美しく、そしてなんだか痛々しくて、いつもながら最終的には、「目力やな。」という感想に落ち着きます。
それから、ジュノー・テンプルもすごく良かった。
アタイはジュノー・テンプルの、小鼻がプクーとするの、大好きです!
狭き花園を飛び出したダイは、ミスGに失望しながらも、町から出られずにいるミスGの妄想を、ぐいぐい実行していくのではないでしょうか。
ダイに幸あれ!!
「汚れなき情事」データ
- 原題 Cracks 2009年
- イギリス・アイルランド・スペイン・フランス・スイス
監督
- ジョーダン・スコット
出演
- エヴァ・グリーン
- ジュノー・テンプル
- マリア・ヴァルヴェルデ
- イモージェン・プーツ
- ヘレン・ノートン
- ディアドラ・ドネリー
- バーバラ・アデア