MAN ON HIGH HEELS / チャン・ジン
あらすじ
サイボーグのごときスゴ腕で、無敵の殺し屋警官、ユン・ジウク。
ヤクザのトップにすら一目置かれ、「男の中の男」として、ヤクザの中に隠れファンもいたりする。
そういう濃いキャラですからして、えてして署内ではつまはじきだったりするのが常よね~とか思っていたら、なんとユン様、署内での信頼も厚みバッチリ!という愛されキャラ!
そういうことならノビノビと、思う存分悪者を、ドカドカ血祭りにあげてあげてあげまくりゃー、ええ感じに極悪な、ノワール映画になるんじゃない?
ところが、彼の内面にはその状況に満足できない、知られざる苦悩があったのです。
ある日、おもむろに辞表を出したユン。
その裏には、誰もが予想だにしなかった、切実な目的がありました。
■続き
感想
ええ、ええ、ユンがカッコいいんですよ・・・。
ツカミで、ヤクザのボスが手下どもに語る、サウナで出会ったユン像。「ン?」となる伏線がロコツに仕込まれてるものの、巷の中学2年生も軒並み納得間違いなしの、ニヒルでクールな人物像!!
そこへ本物がバーンと乗り込む!
キレッキレのアクションシーンが、スピード感も絶好調にたたみかける!!
このバトル、華麗なるアート!!
ユンのすらりとした手足が、やりすぎ、ってぐらいスマートに宙を舞い、無駄のない一撃を次から次へと決めていく。
ヤクザの反撃はフォークのみ。
当然、のぼせたアタイの思考力は、温度急上昇により、緊急停止いたしました。
ところが、見た目と行動は「男の中の男すぎる男」でありながら、ユンの心は「女」だったのでございます。
しかも、女としてのユンはけっこうナイーブ。
その女子力は、お部屋の整理整頓や、どうしても立たせずにいられない、小指なんかに現れます。
ぶっちゃけ、話自体はガチな性同一性障害ものなので、ユンの苦悩の深刻さに胸が痛み、悲しくなったりもするんだけど、それだけに、随所に仕込まれた小ネタの破壊力がハンパないです。
(性転換手術をする場合、途方もなくお金がかかるので、どこから手をつけるかの優先順位は大事なのだね・・・。)
あと、ホ・ゴン(ブルの弟ヤクザ)が、ユン宅のガサ入れをするシーンは特に笑った!
ゴンはユンのファンなので、荒らしたお部屋を、部下にちゃんと片付けさせたりとか。
この映画はそういうシーンとシリアスなテーマとハードボイルドを、強引に融合させて無茶が目立つフシもあるけど、癒着部分にヘンな滑らかさみたいなものがあって、なんか、めっちゃ新しいジャンルを見たような、不思議な後味が残るんですよね。
みどころ
チャ・スンウォンの背が高いっつーか、長いっつーか、ともかくハイヒールはいて女装をすると、巨大すぎて目立ちます。
なのに周囲の、不自然な自然さがたまりません。
男としてのユンを尊敬していた後輩キムが、女装のユンを見て、「きれいだった。」と言うシリアスなシーンがあるんだけど、見た目だけに関して言うと、説得力まるでなく、アタイ反応に困りました。
ただ、仲のよかった同僚だけに、キムの目には内面もひっくるめたユンの女装が見えていて、なればこそのセリフだろうから、やっぱ深いのではないでしょうか。
そこを押さえておきますと、クライマックスでハイヒールを脱ぎ捨てた、血みどろユンに悶絶します。
化粧はドロドロ、ブラウスはひらひら、血糊べったり!
カッコイイなんてもんじゃないよ!レジェンドですよ!
あと、少年時代の回想が、本当に美しくてうっとりしました。
なかでも最大のキモはなんつっても、ユンの襟足、襟足ですので!!!
「ハイヒールの男」データ
- MAN ON HIGH HEELS 2014年(韓国)
監督
- チャン・ジン
キャスト
- チャ・スンウォン(ユン・ジウク)
- オ・ジョンセ(ホゴン)
- イ・ソム(チャンミ)
- ソン・ヨンチャン(ホブル)
- キム・ウンス(パク班長)
- アン・ギルガン(パク)
- コ・ギョンピョ(キム・ジヌ)
- イ・ヨンニョ(パダ)
- イーエル(トド)
- パク・ソンウン
- オ・ジホ
- キム・ミン・ヘギョ
- ユンソナ
- ウォン・ハエ・キム
- キム・ビョンオク